営業にAIを活用する方法|商談準備から育成まで、5つの工程で整理

「営業にAIを取り入れたいが、どの工程から手をつければよいか分からない」「ツールを入れても、一部の人しか使わない」「AIで何ができるのかを、整理して知りたい」——営業の責任者や企画の担当者から、こうした声がよく聞かれます。
営業の仕事は、狙う相手を決める、商談の準備をする、商談を行う、振り返る、人を育てる、と、いくつもの工程に分かれます。AIの使いどころは、工程ごとに違います。全体を一度に変えようとすると、どこから進めるべきか分からなくなり、途中で止まってしまいます。
この記事では、営業活動を5つの工程に分けて、それぞれでAIが補助できること、人が担うことを整理します。さらに詳しく知りたい方のために、工程ごとの関連記事と、対応するエージェントも、一覧にしました。自社の課題に近い工程から、小さく始めるための手順も紹介します。
営業のAI活用は、5つの工程で考える
営業活動は、次の5つの工程に分けると、整理しやすくなります。
- 戦略・ターゲット選定: 誰に、何社、どの順番でアプローチするかを決める
- 商談の準備: 相手を調べ、仮説を立て、資料と台本を用意する
- 商談の実施: テレアポや商談で、トークを組み立てて伝える
- 商談後の振り返り: 結果を振り返り、次に活かす(フィードバック)
- 育成: 新人や若手が、実践で使える力を身につける
顧客の情報を管理する「顧客管理(CRM)」は、この5つの工程を横で支える土台になります。
| 工程 | よくある課題 | AIが補助すること | 人が担うこと |
|---|---|---|---|
| 戦略・ターゲット選定 | 何社に当たればよいか分からない | 市場・ターゲット候補の整理、優先順位の根拠の整理、必要な活動量の試算 | 目標と方向の決定、最終判断 |
| 商談の準備 | リサーチに時間がかかり、資料の質がばらつく | 公開情報の整理、課題の仮説、質問案、資料・台本の下書き | 情報の確認、仮説の取捨選択、自社実績の加筆 |
| 商談の実施 | トークが属人化している | シーンに合わせたトークの下書き、改善案 | 相手の反応を見た柔軟な対応、関係づくり |
| 商談後の振り返り | フィードバックが上司ごとにばらつく | 会話データの整理、観点に沿った気づきの提示 | 育成の方針、本人との対話 |
| 育成 | 教える先輩の時間が足りない | 顧客役として反復練習の相手になる | 評価の観点づくり、実商談での指導 |
どの工程でも共通するのは、AIが判断の前の準備を担い、方針や最終的な判断、顧客との対話は、人が担うという役割分担です。
工程別|AIでできること、関連記事、エージェント
1. 戦略・ターゲット選定
新規開拓では、「目標はあるが、何社に、どの市場から当たればよいか分からない」「リストはあるが、優先順位に根拠がない」という課題が多く見られます。
AIは、市場やターゲット候補を整理し、優先順位の根拠をまとめ、必要な活動量を試算する部分を補助できます。ただし、売上目標と狙う方向は、人が決めます。
- 関連記事: アウトバウンド営業の戦略の立て方|売上目標から逆算してターゲットリストを設計する
- 関連記事: 営業のターゲット選定とは?新規開拓で成果を出す市場・企業の決め方を徹底解説
- エージェント: ターゲット戦略くん(売上目標から逆算して、アウトバウンド営業の作戦を立てる)
2. 商談の準備
準備の段階では、「リサーチに時間がかかる」「提案資料の質が担当者によってばらつく」「台本がなく、その場で考えている」といった課題が出やすくなります。
AIは、公開情報の整理、課題の仮説、質問案、資料構成や台本の下書きを補助できます。情報の正確さの確認と、仮説の取捨選択は、人が行います。
- 関連記事: 営業のリサーチ不足とは?商談で失敗する原因と、準備の型の作り方
- 関連記事: 商談台本と提案資料を一緒に作るAI活用のコツ|作り方と標準化のポイント
- 関連記事: AI商談資料作成とは?導入のメリットと選び方
- 関連記事: AI商談台本の作り方|属人化しない営業の「型」を作る方法
- エージェント: 商談設計くん(商談先1社ごとに、14スライドの資料と営業台本を、約15分で設計)、商談台本作成くん(商談の台本づくりを支援)
3. 商談の実施(テレアポ・トーク)
商談やテレアポでは、トークの内容が人によって違い、成約率にも差が出ることがあります。
AIは、シーンに合わせたトークスクリプトの下書きや、改善案の提案を補助できます。相手の反応を見ながら対応を変えることや、信頼関係をつくることは、人が担います。
- 関連記事: テレアポの成約率をAIトークスクリプトで底上げする方法|営業トークを標準化・改善するポイント
- 関連記事: AIテレアポトークでアポ取得率を上げる方法
- エージェント: トークマン(営業トークスクリプトを、シーンに合わせて自動生成)
4. 商談後の振り返り
振り返りの課題は、「フィードバックの内容が、上司によってばらつく」「忙しくて、振り返りが定着しない」という点です。
AIは、商談の会話データを整理し、決めた観点に沿って気づきを示す部分を補助できます。育成の方針を決めることと、本人と向き合う対話は、人が担います。
- 関連記事: 商談フィードバックが「属人化」する理由と、仕組み化する5つの視点
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- 関連記事: AI商談分析でわかる「売れる営業」と「売れない営業」の違い
- エージェント: 商談FBさん(商談の会話データをもとに、質問や聞き方などのフィードバックを行う)
5. 育成(新人教育・ロープレ)
育成では、「先輩社員の時間が足りない」「教える内容が、人によって違う」という課題が多く見られます。
AIは、顧客役として、何度でも練習の相手になれます。評価の観点づくりと、実際の商談での指導は、人が担います。
- 関連記事: 営業ロープレのやり方|新人営業を短期間で育成する5つの実践方法
- 関連記事: AIロープレで営業研修はここまで変わる
- 関連記事: 新人営業教育をAIロープレで内製化する方法|研修コストを抑えながら教育の質を高めるには?
- エージェント: AIロープレくん(AI顧客と、何度でもロールプレイングができる)
5つの工程を支える|顧客管理(CRM)
顧客の情報は、5つの工程のすべてで使います。ところが、入力が続かない、入力した情報が活かされない、という課題もよく聞かれます。
- 関連記事: CRM活用とは?顧客対応の属人化をなくし、対応漏れを防ぐ仕組み化の考え方
- 関連記事: CRMの入力が定着しない5つの原因と対策|入力されない状態を改善する方法
- エージェント: CRMさん(顧客情報を参照して、次の一手を理由つきで提案する)
どこから始めるか|課題別の選び方
5つの工程を、すべて同時に変える必要はありません。いま最も困っている課題から、選びます。
| 自社の課題 | 最初に取り組む工程 | 最初の一歩 |
|---|---|---|
| 新規開拓の狙いが定まらない、リストの優先順位に根拠がない | 戦略・ターゲット選定 | 売上目標から、必要なアプローチ数を逆算する |
| 提案が一般論になる、準備に時間がかかる | 商談の準備 | 商談前に、最低限そろえる情報の型を決める |
| テレアポや商談のトークが、人によって違う | 商談の実施 | よく使う場面の、トークの型を言葉にする |
| フィードバックがばらつく、振り返りが続かない | 商談後の振り返り | 振り返りの観点を、数個に決める |
| 新人が育たない、教える時間がない | 育成 | ロープレの目的とシナリオを、1つ決める |
| 顧客情報が活かされていない | 顧客管理 | 入力項目を絞り、入力が返ってくる場面を1つ作る |
小さく始める3つのステップ
STEP1 課題が大きい工程を1つ選ぶ
上の表のうち、最も困っているものを1つ選びます。選ぶ基準は、「時間がかかっている」「成果にばらつきがある」「担当者に依存している」のいずれかです。
STEP2 補助してほしい業務を1つ決め、測る指標を決める
その工程の中で、AIに補助してほしい業務を、1つに絞ります。あわせて、効果を確かめる指標を決めます。たとえば、準備にかかる時間、アポイントの数、フィードバックの回数などです。費用と効果の考え方は、AIエージェント導入の費用相場と選び方で解説しています。
STEP3 実績を見て、広げるかを判断する
一定期間、使ってみて、決めた指標が変わったかを確認します。効果が出ていれば、同じ工程の他の業務や、別の工程に広げます。うまくいかない場合は、手順や、元になる情報を見直します。
営業でAIを使うときの4つの注意点
1. 元になる情報の質が前提になる
AIの出力は、与えた情報に左右されます。商品の情報や、顧客の情報が正確でなければ、提案も的外れになります。
2. 内容と出典を、人が確認する
AIの出力には、誤りや、古い情報が含まれることがあります。数値、固有名詞、日付は、元の情報で確認してから使います。
3. 機密情報・個人情報の取り扱いを決める
顧客の情報や、社内の機密情報を、どこまでAIに入力してよいかを、社内のルールで決めておきます。
4. 最終判断と、顧客との対話は人が行う
AIは、判断の材料や、下書きを用意する役割です。方針の決定と、顧客との対話や、関係づくりは、人が担います。
無料資料と、営業向けのエージェント
無料資料|AIで営業を効率化する方法
「AIで営業を効率化する方法|商談準備・実施・フィードバック・新人教育・戦略立案まで」(全10ページ)は、営業の工程ごとに、AI活用の考え方をまとめた資料です。無料でダウンロードできます。社内で、営業のAI活用を検討するときの、共通の資料としても使えます。
営業向けのエージェント
DigitalWorksでは、営業の工程ごとに、次のエージェントを提供しています。料金は、月額5万円〜です(詳細は、各エージェントのページでご確認ください)。
- ターゲット戦略くん: 戦略・ターゲット選定
- 商談設計くん: 商談の準備(資料と台本)
- 商談台本作成くん: 商談の準備(台本)
- トークマン: 商談の実施(トークスクリプト)
- 商談FBさん: 商談後の振り返り
- AIロープレくん: 育成
- CRMさん: 顧客管理
営業のエージェントを一覧で見たい方は、営業のAIエージェント一覧をご覧ください。どの工程から始めればよいか、自社の状況に合うエージェントについて、個別にご相談いただくこともできます。
まとめ|営業のAI活用は、「工程」と「役割分担」で整理する
営業のAI活用は、戦略・ターゲット選定、商談の準備、商談の実施、商談後の振り返り、育成の5つの工程に分けて考えると、整理しやすくなります。顧客管理は、その土台を支えます。
AIが補助しやすいのは、情報の整理、候補の提示、下書きの作成といった、判断の前の準備です。方針の決定、顧客との対話、最終的な判断は、人が担います。すべてを一度に変えず、最も困っている工程の、1つの業務から、小さく始めて、実績を見て広げることが大切です。
まずは、自社の課題を、上の表から1つ選び、その工程の関連記事を読むところから始めてみてください。
営業のAI活用に関するよくある質問
Q1. 営業にAIを取り入れるとき、最初にどの工程から始めるのがよいですか? A. 最も困っている工程からで構いません。時間がかかっている、成果にばらつきがある、担当者に依存している、のいずれかに当てはまる工程が、効果を実感しやすい候補です。
Q2. 営業の仕事は、AIに置き換わりますか? A. 情報の整理や下書きなどの準備は、AIが補助できます。一方で、顧客との対話、関係づくり、方針の決定、最終的な判断は、人が担う必要があります。人とAIが、役割を分担する形が現実的です。
Q3. 小さい営業チームでも、AIを活用できますか? A. できます。人数が少ないほど、1人の負担が大きいため、準備や振り返りなどの一部をAIが補助する効果を、感じやすい場合があります。まず、1つの業務から試してください。
Q4. AIの出力は、そのまま使ってよいですか? A. そのまま使うのではなく、内容と出典を、人が確認してから使います。特に、数値、固有名詞、日付は、元の情報で確かめてください。
Q5. 効果は、どのように確認すればよいですか? A. 取り組む前に、確認する指標を決めます。たとえば、準備にかかる時間、アポイントの数、フィードバックの回数などです。一定期間、使ったあとに、指標がどう変わったかを見て、広げるかを判断します。