業務のAI活用を進める方法|棚卸しから、設計・配置・実行・定着まで、5つの工程で整理

「業務を棚卸しして、課題の一覧は作った。でも、その先が進まない」「AIを使いたいが、どの業務から任せればよいか分からない」——業務改善やDX推進の担当者から、よく聞かれる悩みです。
棚卸しは、業務の実態を知るための、大切な第一歩です。ただ、棚卸しで終わると、改善は止まりがちです。専任のチームを置く余裕がない会社ほど、洗い出した結果が、活かされないまま残ります。
この記事では、業務のAI活用を、棚卸し・設計・配置・実行・定着の5つの工程で整理します。各工程で、AIが補助できること、人が決めること、関連する記事とエージェントも、一覧にしました(確認: 2026年10月)。
業務のAI活用は、5つの工程で考える

- 棚卸し: 業務を洗い出し、見える化する
- 設計: AIに任せる範囲と、業務の流れを決める
- 配置: 誰が、いつ担うかを決める
- 実行: 繰り返しのPC作業を、AIに依頼する
- 定着: 測って、見直し、広げる
| 工程 | よくある課題 | AIが補助すること | 人が決めること |
|---|---|---|---|
| 棚卸し | 業務の実態が、把握できていない | 操作の痕跡や面談をもとにした、業務の整理 | 棚卸しの目的、対象の範囲、結果の確認 |
| 設計 | 任せる範囲と、業務の流れが決まっていない | 業務設計への伴走、フローの整備の支援 | 任せる範囲、判断の基準、責任の所在 |
| 配置 | 担当が、経験に依存している | 担当候補・配置案の準備 | 担当の確定、メンバーや顧客への通知 |
| 実行 | 繰り返しのPC作業に、時間がかかる | PC作業の実行、表・ファイルと実行履歴の準備 | 依頼する内容、実行内容と対象の確認、結果の確認 |
| 定着 | 一部の人しか使わない、効果が見えない | 数字の整理、見直しの案 | 指標、見直しの判断、広げる範囲 |
どの工程でも共通するのは、AIが判断の前の準備を担い、判断は人が行うという分担です。
棚卸しで止まる、3つの理由と対策
棚卸しのあとに、止まってしまうのには、理由があります。

1. 優先順位が決まっていない
洗い出した業務が多いと、どこから手を付けるかを、決められなくなります。時間・頻度・属人化の度合いで、まず1つを選びます。
2. 測る指標がない
変化が、数字で見えないと、続ける理由が薄れます。作業にかかる時間や、見直しの回数など、簡単な指標を、決めておきます。
3. 大きく始めようとしている
すべてを一度に変えようとすると、日常業務と両立できません。1つの業務で試し、うまくいけば広げるほうが、続けやすくなります。
工程別|AIでできること、関連記事、エージェント
1. 棚卸し
業務の実態は、ヒアリングだけでは、つかみにくいものです。担当者の頭の中にある手順は、見えないまま残ります。
DigitalWorksの「MITATE」は、Google×PCの操作痕跡から、AIが業務を観察・面談・棚卸しし、業務設計を提案します。属人化した業務の可視化と改善を支援し、実態把握から、DX推進の第一歩として使えます。操作の記録を使うため、対象者への説明と、社内のルールの整備が欠かせません。
- 関連記事: AIの業務棚卸しで属人化を解消する方法
- エージェント: MITATE(操作痕跡から、業務を棚卸しする)
2. 設計
棚卸しで見えた業務のうち、何をAIに任せ、どう流すかを決めます。業務設計のノウハウがないと、ここで止まりがちです。
「AIマネージャーさん」は、業務設計に並走するコーチング型のAIエージェントです。社員・クラウドワーカー・デジタルワーカーなど、多様な働き方が混在する組織の、マネジメントを支援します。人のマネージャーの代わりではなく、業務フローの整備やマニュアル化の、コーチングを通じた支援です。
- 関連記事: AIマネージャーとは?3つの意味と、マネジメントを任せられる範囲を解説
- 関連記事: AI業務設計とは?導入プロセスと失敗しないコツ
- エージェント: AIマネージャーさん(業務設計に並走する)
3. 配置
担当の割り振りが、担当者の経験に依存していると、稼働の偏りや、引き継ぎの混乱が起きやすくなります。
「ユニットワークスペース」は、クライアント・業務タスク・担当者・稼働・進捗を、ユニット単位で一元管理するワークスペースです。登録済みの情報から、担当候補を理由つきで比較して提案し、未割当タスクの日次の配置案も作成します。担当者の確定、タスクへの適用、メンバーや顧客への通知は、内容を確認した権限のある担当者が行います。
- 関連記事: 担当の割り振りが属人化する原因と対策|稼働の偏りをなくす配置の考え方
- エージェント: ユニットワークスペース(担当候補や配置案を準備する)
4. 実行
決まった画面を見て、一覧を転記する。公開情報を集めて、表にまとめる。こうした繰り返しのPC作業は、依頼して任せられます。
「デスクトップエージェント」は、入力・転記・情報収集といった日々のPC作業を、やりたいことから依頼できるAIエージェントです。手順と対象を確認してから実行し、PCの操作には、会社のWindows PCの接続が必要です。ニュースの収集・要約などは、クラウドで実行できます。
- 関連記事: デスクトップエージェントとは?PC作業をAIに任せる仕組み・必要な環境・向かない業務
- 関連記事: 転記作業を自動化する方法|RPAとAIエージェントの違いと使い分けを解説
- エージェント: デスクトップエージェント(PC作業を依頼する)
5. 定着
一定期間、使ってみて、決めた指標が変わったかを確認し、広げるかを判断します。うまくいかないときは、手順や、元になる情報、依頼の書き方を、見直します。費用と効果の考え方は、AIエージェント導入の費用相場と選び方で解説しています。
どこから始めるか|課題別の選び方
5つの工程を、すべて同時に変える必要はありません。いま最も困っている課題から、選びます。
| 自社の課題 | 最初に取り組む工程 | 最初の一歩 |
|---|---|---|
| 業務の実態が、把握できていない | 棚卸し | 時間がかかっている業務を、5つ書き出す |
| AIに任せる範囲が、決まらない | 設計 | 業務を、「判断が必要なもの」と「決まった手順のもの」に分ける |
| 担当が、特定の人に偏る | 配置 | 担当を決めるときの判断基準を、3つ言葉にする |
| 繰り返しのPC作業が、負担になっている | 実行 | 毎日・毎週の作業を1つ選び、手順と対象を言葉にする |
| 導入したが、使われていない | 定着 | 測る指標を1つ決めて、1か月、数字を見る |
小さく始める3つのステップ
STEP1 課題が大きい工程を、1つ選ぶ
上の表のうち、最も困っているものを、1つ選びます。「時間がかかっている」「担当者によってばらつく」「特定の担当者に依存している」のいずれかが、基準です。
STEP2 任せる作業を1つ決め、測る指標を決める
その工程の中で、AIに任せる作業を1つに絞ります。あわせて、効果を確かめる指標を決めます。たとえば、作業にかかる時間や、見直しの回数などです。
STEP3 実績を見て、広げるかを判断する
一定期間、使ってみて、指標が変わったかを確認します。効果があれば、同じ工程の別の作業や、次の工程に広げます。うまくいかない場合は、手順や、元になる情報を見直します。
業務のAI活用で、確認しておきたい4つのこと
1. 権限と接続の範囲
AIが扱える情報や操作は、会社・利用者の権限と、接続設定の範囲内に限られます。どこまで任せるかを、先に決めておきます。
2. 実行内容と対象の確認
登録・更新・送信などを含む作業は、実行内容と対象を確認してから、進めます。
3. 個人情報・機密情報・操作の記録
棚卸しで、操作の記録を使う場合は、対象者への説明と、社内のルールの整備が欠かせません。個人情報に関する法令や、利用するサービスの規約を確認し、必要に応じて、専門家に相談してください。
4. 最終判断は、人が行う
担当の確定、通知、評価に関わる判断は、人が行います。
無料資料と、オペレーションのエージェント
無料資料|AIエージェント活用ガイド
「AIエージェント活用ガイド」は、掲載中のAIエージェントを、カテゴリ別に紹介し、自社に合うエージェントの選び方をまとめた資料です。無料でダウンロードできます。
オペレーションのエージェント
DigitalWorksでは、オペレーションの領域で、次の4つのエージェントを提供しています。料金は、いずれも月額5万円〜です(詳細は、各エージェントのページでご確認ください)。
- MITATE: 操作痕跡から、業務を観察・棚卸しし、業務設計を提案する
- AIマネージャーさん: 業務設計に並走するコーチング型のAIエージェント
- ユニットワークスペース: 担当候補や配置案を準備し、業務を一元管理する。担当の確定や通知は、権限のある担当者が行う
- デスクトップエージェント: 入力・転記・情報収集を、やりたいことから依頼できる。PC操作には、会社のWindows PCの接続が必要
オペレーションのエージェントを、一覧で見たい方は、オペレーションのAIエージェント一覧をご覧ください。どの工程から始めればよいか、自社の状況に合うエージェントについて、個別にご相談いただくこともできます。
まとめ|業務のAI活用は、「棚卸しで終わらせない」
業務のAI活用は、棚卸し・設計・配置・実行・定着の5つの工程に分けて考えると、整理しやすくなります。AIが補助しやすいのは、整理や準備、定型作業の実行です。任せる範囲、担当の確定、最終的な判断は、人が担います。
棚卸しのあとに止まらないためには、優先順位をつけ、測る指標を決め、1つの業務から小さく始めます。すべてを一度に変えず、実績を見て広げることが大切です。
まずは、自社の課題を、上の表から1つ選び、最初の一歩を決めるところから、始めてみてください。
業務のAI活用に関するよくある質問
Q1. 業務のAI活用は、どこから始めればよいですか? A. 最も困っている工程からで構いません。時間がかかっている、担当者によってばらつく、特定の担当者に依存している、のいずれかに当てはまる工程が、効果を実感しやすい候補です。
Q2. 棚卸しは、必ず最初に必要ですか? A. 任せる業務を決める前に、実態を把握しておくと、判断しやすくなります。ただ、課題が明確で、作業の手順が決まっている場合は、実行から小さく始める方法もあります。
Q3. 棚卸しで、社員の操作の記録を使っても、よいですか? A. 対象者への説明、社内のルールの整備、個人情報の扱いの確認が、欠かせません。法令や、利用するサービスの規約を確認し、必要に応じて、専門家に相談してください。
Q4. AIが、担当を決めてくれますか? A. ユニットワークスペースでは、担当候補や配置案の作成までが対象です。担当者の確定、タスクへの適用、通知は、内容を確認した権限のある担当者が行います。
Q5. 効果は、どう確認すればよいですか? A. 取り組む前に、作業にかかる時間や、見直しの回数など、確認する指標を決めます。一定期間、使ったあとに、指標がどう変わったかを見て、広げるかを判断します。